日本年金機構の年金事務所から、「健康保険及び厚生年金被保険者の資格及び報酬等の調査の実施について」というレターが来て、指定の日時に年金事務所へ行ってきました。
「当日持参していただくもの」として書類がリストアップされていますが、ひとり社長の場合には準備できる書類も限られるので、どのようにすべきか迷ってしまいました。(実際には、当ウェブマガジンの編集長マリー@smallbiz_projが運営しているのは「合同会社」なので、「ひとり社長」ではなくて「ひとり代表社員」の状態でしたが・・・。)
ここでは、年金事務所の総合調査について、ひとり社長の場合の準備と対策について記します。
同じように「従業員なし」で「1人で会社を運営」されている方の参考になれば幸いです。
当記事は、2018年8月時点の体験を元に記述しています。2021年4月に加筆&再編集しました。
年金事務所の調査とは?
今回のレターが来るまで、年金事務所の調査というものを知りませんでした。
いつものように、年金事務所からの書類と思って封を開けたところ、日時が指定して年金事務所に書類を持って来所するようにというレターでした。
レターには、「健康保険法第198条第1項、厚生年金保険法第100条第1項に基づき行なうものです」とありました。具体的には、以下のような条文内容で、簡単に言えば、年金事務所側は「事業主に対して書類の呈示や帳簿書類の検査をすることができる」ということになっているんですね。
健康保険法 第百九十八条 厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関して必要があると認めるときは、事業主に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員をして事業所に立ち入って関係者に質問し、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
厚生年金保険法 第百条 厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関する決定に関し、必要があると認めるときは、事業主に対して、文書その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をして事業所に立ち入つて関係者に質問し、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

「当日持参していただくもの」&「実際に準備したもの」
レターの裏側には、「当日持参していただくもの」として、以下の5つの書類が列挙されていました。
ひとり社長だと「賃金台帳なんてないよ~」という感じですが、実際にマリーは以下のような感じで準備しました。
(1)賃金台帳(作成していない場合は所得税源泉徴収簿等)⇒賃金台帳は作成していないので、代わりにエクセルで作成している自作の源泉徴収簿(毎月の給料と社会保険料預り金をリストしたもの)を持って行きました。
(2)出勤簿(賃金台帳に出金日数・時間数の記載がある場合は省略可。)⇒出勤簿は作成していないので、準備しませんでした。
(3)源泉所得税領収書(写し可。直近分)⇒e-Taxで納期特例を源泉所得税申告をしているので、その控えを準備しました(実際には見せませんでした。)
(4)代表者印(持ち出し可能な場合)⇒持って行きました。
(5)事業所調査のご案内(年金事務所からの通知レター)⇒持って行きました。
一般的でない状況がある場合には、どのように説明をすべきか不安がありますね。そのような場合には、社会保険労務士などの専門家に相談できれば安心です。
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実際の調査内容(体験談)
当日は、午前9時から11時半が指定されていました。
マリーが到着したのは、10時半過ぎでした。年金事務所と同じビルの別フロアが調査会場として使われていて、3つのブースで調査が行なわれており、他に待っている人が数名いました。
ブースの前が待合いの場所になっていたのですが、そこに座っていると、すぐ後ろのブースでの調査員と事業者の会話が丸聞こえでした。
個人の話も出てきているのでプライバシーへの配慮はあまりない様子。その代わり、どんな質問がされているかがわかりました。パートやアルバイトさんの社会保険の加入状況について、詳しく質問がされていました。
人を雇う場合には、パートやアルバイトさんでも、このような調査があることを念頭に、きちんと賃金台帳や出勤簿などの書類を作っておくことが必要ですね。人を雇うってことは、いろいろな意味で責任が増えますね。
20分ほど待って、調査が始まりました。
はじめに、「この調査は2年~3年に1回、すべての事業者に調査をお願いしているもので、総合調査といいます。」と、調査員から説明がありました。


詳しくはわかりませんが、調査員の話から想定すると、年金事務所は税務署に出している情報にはアクセスできないようで、そのために実態を確認する必要があるようでした。
調査は次のように進んでいきました。
- 「事業の内容を説明してほしい」と言われました⇒簡単に説明をしました。
- 「ひとりでやっているんですね?」と聞かれました⇒誰も雇わず自分ひとりであると伝えました。(これは、年金事務所にある資料と同じであるかを確認したのだと思います。)
- 「給料の締め日はいつですか?」と聞かれました⇒月末日であると答えました。(これも、年金事務所にある資料と同じであるかを確認したのだと思います。)
- 「資料を見せてください」と言われました⇒持ってきたエクセルで作った自作の源泉徴収簿)を見せました。(調査員は数字をざっと見ていました。)
これで「問題なし」ということで、10分ほどで終了しました。待ち時間の方が長かったです。
上記からわかるとおり、ひとり社長できちんと社会保険に加入してれば、年金事務所の総合調査を心配しすぎる必要はありません。ただ、別の会社からも収入がある場合や、ひとり社長で社会保険に加入していない場合には、どのように説明するかの準備をきちんとしておく必要があるでしょう。
日常的に使っている税理士がいる場合でも、その税理士の先生が必ずしも「社会保険」に詳しいとは限らないので、社労士(社会保険労務士)の意見やアドバイスを仰ぎたいですね。
そのような場合には、上記でご紹介したココナラ などで単発でお願いできる社労士さんを探しましょう。サービス料金と実績が事前にわかるので、安心して利用できます。
まとめ:慌てずに関連資料を準備すれば問題なし!
初めての年金事務所の調査で勝手がわかりませんでしたが、レターにあるとおりの書類を準備すれば問題ありません。
一般的な状況については心配いりませんが、例外的な対応が必要なケースについては、慎重に準備をする必要があると思います。
上記の内容が、同じようにひとり社長で年金事務所の総合調査の連絡が来た場合の参考になれば幸いです!
今回資料として準備した源泉所得税は、給与の支給人数が常時10人未満の場合の「納期の特例」を利用すれば、半年ごとにまとめて納付することができます。
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