起業時にシェアオフィスを借りる場合、実質的な起業をする前にオフィスを借りることが多いので、細かい条件を理解しきれないまま決めてしまいがちです。
しかし、できるかぎり利用の状況を想定して内覧することで、自分の状況に合うシェアオフィスを見定めることができます。
ここでは、シェアオフィスを実際に複数使った経験からわかった、シェアオフィスを選ぶときに留意したいポイントをまとめました。
これから「シェアオフィスを新たに借りる」「シェアオフィスを変更する」という方の参考になればうれしいです。
当記事は、2021年4月に加筆&再編集しました。
1. シェアオフィスの運営会社について
シェアオフィスは、いろいろな個人&法人が利用しています
さらに、シェアオフィスは、住所貸しだけをしているバーチャルオフィスも兼ねている場合も多いです。
まずは、運営会社に関して
- どのような会社であるか(会社概要)
- どのくらいの規模と実績があるのか
- シェアオフィス以外のビジネスもやっているのか
など、わかる限りのことを確認するようにしましょう。

起業時にシェアオフィス・バーチャルオフィスの住所で法人を設立する場合には、「法人の銀行口座をスムースに開設できるか」を見据えて、シェアオフィス・バーチャルオフィスを選ぶことも重要です。
たとえば、以下の記事でご紹介している【レゾナンス】 では、法人会員を対象にみずほ銀行へ紹介するサービスを提供しています。状況によってはそのような点も考慮をして、シェアオフィスを選ぶとよいですね。
2. 共有ワークスペースの内容と料金体系
共有ワークスペースの充実度と雰囲気
シェアオフィスを利用する目的によって、シェアオフィスにある共有ワークスペースに求めるものが違ってきます。
(1)自分が日常的に仕事をする場所として共有ワークスペースを利用したい場合:
自分のワークスタイルをシュミレーションすることが大切です。たとえば、
- 日々利用できるだけのスペースが十分にあるか
- スペースが混んでいて使えないことはないか
- 机や椅子・照明などの作業環境はよいか
- 他に利用している人たちの雰囲気は自分にあっているか
- トイレや洗面所は清潔で使いやすいか
などの点を確認しましょう。
実際にいろいろなシェアオフィスを見て感じたのは、「シェアオフィスによって共有ワークスペースはかなり違う」ということです。
カフェのような雰囲気のところもあれば、図書館の勉強エリアみたいなところもあります。ワークスペースがあると説明にはあっても、実際には補助的にあるだけの場所もありました。
利用している人の雰囲気もビジネスマン風が多いところ、IT系が多いところ、ノマド風が多いところなど実にさまざまです。見た感じの印象に惑わされないで、自分が共有ワークスペースを利用する場面を想定するして内覧をするようにしましょう。
(2)週に数回・月に数回というように時々利用したい場合:
「利用回数の制限はあるか」「使いたいときに使えるシステムとなっているか(予約が必要か)」など、共有ワークスペース利用のシステムが自分の状況とあっているかを十分に検討しましょう。
(3)お客さんの来訪時や打ち合わせで利用できればよい場合:
次に説明する「来客時の対応は自分に合っているか?」を検討しましょう。

共有ワークスペースの料金体系
シェアオフィスによって、毎月のメンバー料金だけで共有ワークスペースを自由に利用できるところと、毎回の利用時に利用料がかかるところがあります。
多くのシェアオフィスは、利用頻度によっていくつかの料金プランを設定しているので、自分の利用頻度や利用形態に合ったプランがあるかを確認するようにしましょう。
3. 来客時の対応と会議室の予約&料金体系
共有スペースにビジターを呼べるか?
ちょっとした打ち合わせに来客がある場合、会議室を借りるほどではないが面談のスペースがほしい場合があります。
シェアオフィスによって、ビジターを共有スペースに招きいれることができるところと、ビジター来訪時には必ず会議室の利用が必要なところがあります。
どのくらいの頻度でビジター来訪があるかにもよりますが、共有スペースを打ち合わせにも使いたいという場合には、ビジター来訪時に共有スペースを利用できるかは大きなポイントになります。自分が必要なシチュエーションをよくシュミレーションしてみましょう。

来客時の対応
来客時に、「受付で来客に必要な対応をしてくれるか」「来客にお茶出しをしてくれるサービスがあるか」など、自分のビジネスにとって必要な対応があるかも確認します。
お茶出しサービスの料金もシェアオフィスによってずいぶん違いますので、必ず確認しましょう。
会議室の予約がとりやすいか?
会議室の数が少ないと、ビジター来訪や打ち合わせの予定を決める際に、先に会議室の空き状況を確認しなくてはならずに、ビジネスのスピードが鈍ります。
会議室利用が多く想定される場合には、充分な会議室があるかも確認ポイントです。

自分が利用したいサイズの会議室を利用しやすいか(予約がとりやすいか)は、必ず確認しましょう。
会議室の料金はリーズナブルか?
毎月のシェアオフィス利用料金は安めの設定となっていても、会議室の料金が高い場合があります。
会議室をどのくらい利用するかを試算して、総額で費用を比較するようにしましょう。
ここまで見てきただけでも、シェアオフィスを選ぶときに確認したいポイントはいろいろあります。自分の望む条件に合うところを見つけるには、できるだけ多くのシェアオフィスを比較検討するのがおすすめです。
その際には、シェアオフィスの検索サイトの利用が便利です。下記の記事で無料で利用できる検索サイトをご紹介しているので、参考にしてください。
4. シェアオフィスの営業時間
営業時間の長さは充分か?
シェアオフィスによって、特にオフィスがクローズする営業終了時間がかなり違いいます。
シェアオフィスを探しているときには、夜の8時終了と10時終了の差を大きく感じないかもしれませんが、起業直後に夜遅くまで利用したい場合などは意外に大きな差になります。
土・日・祝日は利用できるか?
週末や祝日にシェアオフィスを利用できるかも、シェアオフィスによりずいぶん違います。
特にB to Cビジネスで、週末に個人のお客さんと会う場所た必要だったり、セミナーを開催したり・・・となる場合、週末が利用できないことはとても不便です。ビジネスが成長すれば、外部に場所を借りてセミナー開催をできますが、初期の段階こそ週末でもシェアオフィスをうまく利用できるほうが便利です。
夜や週末のビル入退館に制限はないか?
夜遅くや週末にシェアオフィスを利用できる場合でも、ビルのセキュリティの関係でビルの裏口から入る必要がある場合があります。
自分がワークスペースとして利用する場合には問題ありませんが、夜や週末に来客や打ち合わせ、セミナー開催などが想定される場合には、利便性をきちんと確認しましょう。
夕方以降の入退館が裏口になってしまうということで、お客さんに来社いただくのに都合が悪く、そのシェアオフィスをあきらめた経験があります。
シェアオフィスでは、電話代行サービスも合わせて提供している業者も多くあります。
ただ、シェアオフィスが提供する電話代行サービスでは、平日の9時~18時という時間帯のみの対応だったり、(シェアオフィスが土日祝に休みの場合)電話代行も同じように土日祝は休みだったりで、特に個人を対象とするB to Cビジネスの要請を満たさない場合があるかもしれません。
そんなときには、土日を含めて365日、最大で9時から21時まで対応が可能なBusinessCallなど、対応時間が長い電話代行サービスを検討してみてことをおすすめします。
電話代行を頼むことで得られる「本業に集中できる」「電話に出られないリスクがなくなる」という小さなビジネスにおけるメリットも大きいですね。

5. 各種の付随サービス
シェアオフィスによって、付随のサービスはさまざまです。
ドリンクサービス
シェアオフィスによっては、フリーのドリンクサービスが充実しているところもあります。日常のワークスペースとして利用する場合には、大切なポイントになりますね。
モニターやプロジェクターの貸し出し
パソコン用のモニターや、会議室でのプロジェクターなどを用意してくれているシェアオフィスもあります。PC作業でも画面は大きなモニターで作業したい、会議室ではプロジェクターを使いたいという場合には、とても便利なサービスですが、貸し出し料金がシェアオフィスによってかなり違います。

登記・住所利用のサービス内容は自分の求めるものか?
シェアオフィスの住所を法人の登記住所に利用する場合には、その利用料金にも留意が必要です。シェアオフィスとしての料金は比較的安くても、登記利用の料金はかなり高い設定のところもあります。
また登記住所として使う場合には、郵便物もシェアオフィスへ届きます。その際の転送が、適宜転送してくれる場合と、1週間に1度など決められた頻度でしか転送してくれない場合があります。
日常的にシェアオフィスへ行っている場合は問題ないですが、そうでない場合には、転送サービスの頻度と手数料については要チェックです。
6. 個室オフィスへの発展性
シェアオフィスが、同じ場所で個別ブースや個室オフィス(レンタルオフィス)のサービスも提供していれば、ビジネスが発展したときに、住所を変えることなく個別ブース・個室オフィスを持つことができます。
将来的に個室オフィスを持つことを考えているのであれば、同じ住所でビジネスの進展に合わせて利用サービスを変えていける可能性があれば便利です。
まとめ:実際の利用シチュエーションを想定して内覧しよう
実際にシェアオフィスを利用して起業するまでは、微妙な利便性の違いに気付きませんでした。でも、実際に利用すると、想像以上にビジネスの運営に影響する部分だと感じました。
登記をしてしまうと、簡単に移転することはできませんから、オフィスの雰囲気だけでなく、細かい点に目を向けて比較することが重要だと思います。
当記事が、これからシェアオフィスを探す方の参考になれば幸いです。
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会社設立を予定している場合、登記住所が決まると、いよいよ会社設立の準備をしていくことになります。
その際には、「法人用の印鑑を準備する」「会社設立日を決める」「会社設立の手続きを確認する」などが必要になってきます。以下の記事を参考にして、準備を進めてくださいね。