ひとり社長など小さな起業で会社設立の場合、「できるだけ自分でやりたい」けれども「余計な時間はかけたくない」という方も多いでしょう。
そんな場合には、クラウド会計ソフト各社が提供している会社設立サービスの利用が便利です。必要な情報を入力すれば会社設立に必要な書類が自動で作成されるので、ほぼ自力で会社設立をすることが可能です。サービス自体は基本的に無料で利用できるので(詳しくは後述)、会社設立にあたって司法書士等に高い手数料を支払うのは避けたいと考えている方におすすめです。
ここでは、「マネーフォワード」と「freee」が提供している会社設立サービスの内容を詳しく見ていきましょう。
当記事は、2021年3月時点の情報を参考にしています。(初投稿は2019年5月です。)

クラウド会計ソフトの会社設立サービスの特徴
会社設立サービスの共通の特徴は?
クラウド会計ソフトの各社は、以下のサービス名称で会社設立サービスを提供しています。
- マネーフォワード:マネーフォワードクラウド会社設立
- freee:会社設立freee
まずは両サービスの共通の特徴を整理してみましょう。
- サービス利用料は無料:どちらのサービスも、サービスそのものは無料で提供されています。
- 一般的に司法書士等の専門家に会社設立手続きをすべて依頼する場合には、別途手数料が株式会社設立で7万~10万円程度、合同会社設立で5万円~10万円程度がかかってきます。会社設立サービスを利用すれば、その費用分を節約することができるわけです。
- 株式会社・合同会社の両方に対応:株式会社および合同会社設立の基本的なパターンに対応しています。
- 手間をかけずに書類作成できる:基本的にフォーム記入で書類が作成されて、手間をかけずに会社設立ができるサービスです。
- 電子定款の利用を前提:定款印紙代が無料になる電子定款利用を前提にしているサービスです。(参考:紙の定款だと4万円の印紙代が必要になります。)
- 電子定款の認証の事務手数料:どちらも5千円の事務手数料が設定されていますが、会計ソフトの契約によって無料になります。(詳細は下記を参照ください。)
ひと言でいえば、会社設立に必要なプロセスの順番で手続きを進めていけるので、自分でゼロから調べてやるよりもずっと効率的に作業を進めることができます。最新の情報にアップデートされているという点も安心です。
会社設立なんて、一生に一度か二度しかないことなんだから、「専門家に丸投げしよう」という考えの方が一般的かもしれません。
しかし、当ウェブマガジンのマリーは、「やれる範囲で、できるだけ自分で手続きしたい」と思ったのです。
- 今後の自分のキャリア&お金のベースとなる「法人」という別人格を生み出す過程を理解したい
- 「自分で会社設立手続きをする」ことは、今後の会社の運営にも役立つ
こんな風に思いました。そして、今は実際にそうしてよかったな~と思っています。(そのため、わたしと同じように考える方々を応援したいと思って、当ウェブマガジンでも自分の体験を記事にしてご紹介しています。)
マリーが合同会社を設立したときの体験は、下記の記事にまとめました。この記事におけるタスク3、4、6,7の大部分が、会社設立サービスにより自動的に作成されます。
会社設立サービスの利用料は基本的に無料
会社設立に関するサービスの利用料そのものは、freeeもマネーフォワードも基本的に無料です。
下記に株式会社設立と合同会社設立の各ケースで詳細を示したとおり、両サービスに価格&サービス内容に大きな違いはありません。
両社サービスの違いとして、電子定款の事務手数料が無料になるのが、マネーフォワードクラウド会社設立
【株式会社設立の主な費用】
マネーフォワードクラウド会社設立 |
会社設立freee |
|
設立サービスの利用料 | 0円 | 0円 |
定款印紙代 (電子定款の場合) |
不要 | 不要 |
電子定款の事務手数料 | 通常5千円 または0円 *2 |
5千円 または0円 *3 |
公証人手数料*1 | 5万円 | 5万円 |
定款の謄本手数料*1 | 2千円 | 2千円程度 |
登録免許税*4 | 15万円 | 15万円 |
合計 | 20.2万円または20.7万円 | 20.2万円または20.7万円 |
*1: 定款の認証のために公証人に支払う費用で、株式会社設立に必ず必要になる費用です。
*2:マネーフォワード クラウドの有料プラン(法人スモールビジネスプラン、法人ビジネスプラン)登録で無料となります。年額プランか月額プランは問いません。
*3:会計freeeの年間契約で5千円が0円になるキャンペーンがあります。
*4: 15万円または資本金の0.7%の高い方の金額。株式会社設立に必ず必要となる費用です。
【合同会社設立の主な費用】
マネーフォワードクラウド会社設立 |
会社設立freee |
|
設立サービスの 利用料 |
0円 | 0円 |
定款印紙代 (電子定款の場合) |
不要 | 不要 |
電子定款 の事務手数料 |
通常5千円 または0円 *2 |
5千円 または0円 *3 |
定款認証 | 不要 | 不要 |
登録免許税*1 | 6万円 | 6万円 |
合計 | 6万円または6.5万円 | 6万円または6.5万円 |
*1: 6万円または資本金の0.7%の高い方の金額。合同会社設立に必ず必要となる費用です。
*2:マネーフォワード クラウドの有料プラン(法人スモールビジネスプラン、法人ビジネスプラン)登録で無料となります。年額プランか月額プランは問いません。
*3:会計freeeの年間契約で5千円が0円になるキャンペーンがあります。
尚、細かい条件は変更になる可能性があるので、必ず最新の情報で確認するようお願いします。
会社設立サービスの利用にあたって留意したいこと
上記でご紹介したクラウド会計ソフト両社の会社設立サービスは、自分で会社設立の手続きをしようというときに、とても頼りになるサービスです。
ただし、利用にあたっては例外的な対応がある場合には、追加の対応が必要となる可能性がある点に留意しておきましょう。
例外処理の例として、「旧姓を併記しての登記申請」や「現物出資のケース」については、以下の記事も参考にしてくださいね。
また、例外処理の場合で自分で対応できる範囲を超えていると感じる場合には、専門家を利用することを検討しましょう。
「専門家の利用」というと、直接の知り合いやコネクションがない場合は不安を感じますが、ココナラ であれば、サービス料金の実績と実績が事前にわかるので、安心して利用できます。単発の利用にも対応している専門家を探せる点も便利です。
尚、どの士業の方に相談&依頼するかについては、定款の作成に関しては行政書士(あるいは司法書士)、会社の設立登記に関しては司法書士の方に依頼することになりますので、参考にして選んでくださいね。
どちらの会社設立サービスを選んだらよいのか?
会社設立後すぐに、いずれかのクラウド会計ソフトの利用を検討している場合には、可能であれば、会計ソフトを契約することで電子定款の事務手数料が無料になるサービスを利用したいですね。
そのため、会社設立の前に、利用する予定の会計ソフトを決める必要があります。
マネーフォワードクラウド会計も会計ソフトfreee
も、小さな起業でのクラウド会計ソフトとして実績もありますし、人気も高いソフトです。
ただ、似たように見えるサービスではあっても、サービスの内訳や価格には違いああるので、自分の状況に合うものを選ぶようにしましょう。
以下に選択ポイントを説明していますが、「使ってみないとわからない」と感じる方も多いかもしれません。そんな方には、前項で説明したように、「マネーフォワードでは会計ソフトの月額プラン契約でマネーフォワードクラウド会社設立
(1)日々の会計データの入力がしやすいか?
どちらも工夫されたインターフェースですが、一般的には以下のような感想を持たれているようです。ただ、実際には、それぞれの人により好みは違うので、あくまで参考程度の情報と捉えましょう。
- マネーフォワードは、経理知識がある程度ある方や借方・貸方を理解している方にとって利用しやすいと言われています。
- freeeは、その特徴としてはじめて経理をする方にとって利用しやすい、複式簿記を知らない方にも向いている、と言われています。
(2)ビジネスの必要性に合っているか?
- マネーフォワードクラウド会計の法人プラン
でも、法人プランは3種類あります。最安のスモールビジネスプランは、小規模法人向けということで、年額では35,760円(1ヵ月あたりで2,980円相当)となっています。
- 会計ソフトfreeeの法人プラン
には3種類あります。スモール起業向けの最安のプラン(ミニマム)は、年額では26,136円(税抜き23,760円)(1ヵ月あたりで2,178円(税抜き1,980円)相当)となっています。
最安プランには、月間で800円ほどの差がありますね。
この理由としては、マネーフォワードでは、スモールビジネスプランでも、会計だけでなくて給与計算の機能も含まれている点が挙げられます。
・源泉所得税や社会保険の基礎知識があまりなく、会計機能に加えて給与計算機能も利用したい場合には、マネーフォワードがおすすめです。経理や給与計算の専門家(社会保険労務士など)を雇うより、ずっと安く利用できるからです。
・反対に、会計機能のソフトのみを使いたい場合には、freeeのほうが総額コストを抑えることができます。

まとめ:スモール起業に便利!会社設立サービスを賢く利用しよう
どちらのサービスも、自分でできるだけ会社設立の手続きをしたいと考える方にとっては、とても便利なサービスです。
どちらかのクラウド会計ソフトを利用する予定であれば、この段階で検討して、電子定款の事務手数料の無料割引を利用するのはもちろん賢い選択です。しかし、5千円の割引のために「この段階で会計ソフトを焦って決めない」という視点も大切ですね。
当記事が、これから会社設立をする方の参考になれば幸いです!
- マネーフォワードクラウド会社設立
:簡単3ステップで知識がなくても会社設立できるマネーフォワードによるサービス
- 会社設立freee
:会社設立に必要な書類を質問に回答するだけで全て作成できるfreeeによるサービス
会社設立には、法人用の印鑑が必要になります。一度作ったら長く使うものなので、「自分好みの印鑑」を選ぶようにしたいですね。以下の記事を参考にしてくださいね。
また、印鑑の作成と並行して、会社設立に向けて「会社設立日」や「登記住所」の検討をしておきましょう。以下の記事を参考にしてくださいね。