自分自身の「稼ぎ力」に責任をもち、持続可能な稼ぐ力を自身で育てていくことが大切な時代になっています。
会社員として組織で生きていく場合も、組織を離れて複業やスモール起業をしていく場合も、「キャリアの選択(業界・職種・働きかた)」と「新たに獲得するスキル」が中長期的な「稼ぎ力」に大きく貢献するという点は、共通しています。
ここでは、当ウェブマガジンの編集長マリー@smallbiz_projの体験を含めて、持続可能な稼ぐ力を増やすためのキャリア選択とおすすめスキルの例をご紹介します。
「このままの収入では不安」あるいは「キャリアの方向性を変えたいが収入が減るのは怖い」と感じている方の参考になればうれしいです。盛りだくさんの内容なので、目次を見て気になるところをご参照くださいね。
当記事は、2021年4月に加筆&再編集しました。(初投稿は2018年7月です。)
稼ぎ力はライフスタイルに大きな影響
稼ぎ力は、文字通りに「稼いでいく力」です。
どんな仕事であっても、仮に自分が好きなことを仕事にしていても、稼ぎ力が伴わない場合には、中長期的にどこかで方向転換を迫られます。
また、短期的には少しの差であっても、年収で100万円違えば、10年で1,000万円、30年では3,000万円の差になり、家が買えるほどの違いになります。(ここでは、税金や社会保険の影響を無視しています。)

上記は、ひとつの職種での例ではありますが、どの職種でも似たような年収アップのケースは考えられます。
いずれにしても、これだけ稼ぎ力が違うと、ライフスタイルにも大きな影響を与えます。だから、中長期のキャリア選択・キャリアプランを考えることが、とても重要なのです。
その際には、以下の3つのバランスを考えつつ、自分の稼ぎ力を増やす方向へ少しずつキャリアシフトしていくことが大切になってきます。
稼ぎ力につながる「キャリア選択」で留意したい3つの視点
1. 好きなこと:自分が好きな分野
「自分が何を好きなのか?」は、簡単なようで、大人になっても自分が何が好きかをわからない方も結構します。
「これが好きそう」と思ってみても、実際にその仕事をやってみて「自分の好きなことではなかった」と気付くときもあります。
そのような場合には、一旦立ち止まってキャリアプランを再考することも選択肢として考えるとよいでしょう。
全面的なキャリアチェンジや一直線のキャリアアップだけでなく、「業界を変える」「働きかたを変える」「専門スキルを増やす」といった「キャリアシフト」の方法で問題が改善していく場合も多くあります。
保健師は、もともと「女性の職種」として捉えられていたこともあり、公務員を除けば、平均年収はあまり高くありません。
- もともとの「健康管理」という専門に加えて「安全衛生」「施設管理」「災害対応」などの専門が加わると、企業の「リスク管理」の専門職として活躍の場が広がります。
- これに「英語力」が加わると、多国籍企業の日本支社での「BCP管理」「環境管理」などの専門職、さらには日本だけでなくアジア地域を含めた担当&管理職へのチャンスも広がります。
- さらにこれらの経験を活かして、独立するという選択肢も考えられます。先進的な海外事例の「リスク管理」の専門家として、複数の企業を対象にサービスを提供します。
これらのステップを経ると、年収にして2倍~3倍+の違いとなってきます。

2. できること:自分が得意な分野
子供時代から学生時代を通じて、「他人と比較して自分が秀でていること」があった場合、これを基準に職業を選んだ場合が多いかもしれません。
しかし、実際にやってみて「これは自分の求めていたものとは違う」と感じる場合もあるかもしれません。
特に、成績がよいということを主な理由として「医学部や難関資格」「一流企業に就職する」ことを目指して、その後にそれらを実現したのちに「方向変更ができない」「戻るに戻れない」という深い悩みを感じる方もいます。
その状況や想いに絶望をして、「ゼロからやり直そう」としてしまう場合もありますが、多くの場合は、「新たなスキルを獲得する」「働きかたや住む場所を変える」ということで、自分の望む「ワークスタイル」「ライフスタイル」に近づけることも多くあります。
「井の中の蛙(大海を知らず)」という言葉がありますが、狭い世界しか知らないと「自分を活かせるかもしれない未知の世界」を知らないままです。
自分の「得意なこと」を「好きなこと」へ近づけるにはどのような道があるのか?、自分の知らない世界で自分の経験を活かせる分野はないか?など、じっくり調べて行動へ移していきましょう

どんな職種であっても、「狭い箱」の中からの視点ではなく、その箱の外に出て考えると「見える世界」が違ってきます。
上記で例にあげた会計経理職は、会計士や税理士でも「監査や税務」という「ビジネスの後処理をする専門職」、企業の経理職でも「ルーティンのバックオフィス業務」と地味な仕事と捉えられがちです。しかし「狭い箱」から出てしまえば、大きな可能性がある職種でもあります。
キャリアの選択肢を「箱の外へ出て考える」例として、(会計経理職の場合ではありますが)以下の記事も参考にしてみてくださいね。
3. 社会から求められること
「好きなこと」「できること」だけでは、稼ぐ力に直結しません。社会から必要とされることが、稼ぐ力へとつながります。
たとえば、上記の1番でご紹介した保健師の例では、「リスク管理」という専門が企業や社会から強く要請されているという背景があるから、キャリアアップ&年収アップが可能となったわけです。
産業や職種の選択について
経済の変化や時代の動向によって、稼げる産業や職種は変化していくので、自分の好きな分野・得意な分野と、稼げる産業&職種が重なる部分をしっかり見極めましょう。
- 能力による差の部分はありますが、業界や職種によって「平均収入」「稼げる可能性」が決まる部分もあります。「希少性がある」「社会からの要請が増えている」という職種では年収が安定&上昇傾向ですし、反対に「社会からあまり求められない」「社会からの必要性が減りつつある」という職種では、だんだん年収が下がる傾向にあります。
- 学生や20代であれば、職種の選択やキャリアチェンジにさまざまなチャンスがあります。職種の将来性については、(すべてが日本に当てはまるわけではありませんが)アメリカの職種データベースも参考になります。
このあたりの考え方のベース部分については、編集長マリーが運営している別サイトの以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてくださいね。
稼ぎ力を増やすためのおすすめスキル5選
ここでは、幅広い分野に共通して稼ぎ力を増やしやすいスキル例をご紹介します。
専門分野や業界によって、稼ぎ力につながりやすいスキルは異なりますので、下記のスキル例を参考に、「自分の専門分野&業界において、どんなスキルがあれば中長期的に生き抜いていけるだろうか?」と考えてみてくださいね。
英語力
今のスキルに英語力がプラスされることで、活躍できるエリアが大きく広がります。
特に、IT技術者やエンジニアの場合、英語力があれば、国際プロジェクトや外資系のプロジェクトに関わることが可能となり、稼ぎ力が一気に高めることへつながります。
また、「専門スキルx英語力」があることで、年齢を問わずに、特に50代・60代でも稼ぎ力をキープできることが多い、というメリットも挙げられます。
職種によっていろいろなケースが考えられるので、自分の職種でどのようなチャンスにつながるかを考えてみてくださいね。
英語力と年収の関係については、以下の記事も参考にしてください。
一般的な仕事で求められる英語力であれば、日本にいながら充分に身に付けることができます。
ただ、効率的&効果的な勉強法を選ばないと、いつまでたっても英語に自信を持てず、英語コンプレックスを持っている状態が続いてしまいます。1年程度を集中して勉強して、「仕事で使える英語力」「自分の職種で通用する英語力」を身につけることを目標とするのがおすすめです。
普通に日本で育った日本人の場合、学校での英語勉強に加えて、だいたい1000時間程度の集中的な英語学習をすれば、仕事で使える英語力レベルに到達できるといわれています。
以下のような方法を参考に、自分に合う勉強法を見つけて続けていくことが大切です。
【英語学習方法の例】
(1)資格試験をマイルストーンに実力アップしていく方法
- NHKの英語講座などをペースメーカーにする。
- TOEICやVersantなどの英語テスト(合格不合格ではなく点数化されるテスト)をマイルストーンにする。
この方法は、費用はあまりかかりませんが、自分で継続できる意志力が必要となります。
(2)定評ある英語教材を利用する方法
- しっかりした開発されたプログラム(たとえばアルクやスタディサプリなど)を利用する。
- TOEICや英検受験対策コースを利用して、基礎力をつけるのも有効。
この方法は、リーズナブルな価格で内容が充実している教材を選べば、コスパよく勉強できます。自分に合う教材選びが成功のポイントとなります。
(3)オンライン英会話や英語コーチングを利用する方法
- 英語学習のプロのサポートを利用する。
- 数カ月、半年、1年といった目標期間を決めて、英語学習の計画に沿って勉強を進めていく。
ある程度まとまった予算が必要になるので、自分を追い込んで「英語学習の環境を確保したい」と考える方に向いています。
どの方法の場合も、短期的な目標として「英語資格試験を目指す」「英語を使う環境へ転職する」などを並行して進めると、高いモチベーションを継続できます。
統計学&データサイエンス
21世紀は「データの時代」とも言われます。
統計スキルがあることで、IT技術者やマーケティング職種から、データ分析やコンサルティング分野へキャリアの方向を進化させていくきっかけとなり、産業のIoT化を背景に活躍の場が広がるでしょう。
小売業から製造業まで、さまざまな分野でデータサイエンティストが不足すると言われているので、スキル進化型のキャリアシフトに向いています。

以下の記事で、大人になってから統計学を学ぶ方法をご紹介していますので、参考にしてくださいね。
ビジネス会計スキル
どんな仕事であっても、お金に関することを避けては通れません。
お金に関することは、会計の数字で表現されますから、基本的な会計スキルを身に着けておくことは、長きにわたって役立ちます。
そこの場合、簿記(ブックキーピング)という狭義の会計スキルだけではなく、
- ビジネスの予算を作成できる
- 予算と実績の差異を分析できる
- 企業の財務諸表・決算発表を理解できる
- スモール起業であれば自身である程度の経理処理をできる
といったビジネスを数字で理解&運用できる実務スキルをもっていると、どこへ行っても数字でビジネスを議論できるようになります。
日商簿記検定の3級&2級レベルを目安に勉強を進めるとよいでしょう。
簿記講座は、リーズナブルな価格で勉強できる講座が充実しています。以下は、社会人向け講座の例です。
- スタディング 簿記講座 :スキマ時間&ビデオ/音声講座で無理なく勉強できる人気講座。アウトプット学習、実践力アップテスト、検定対策模試もついて、試験対策としては圧倒的な低価格。
- スキマ時間でビジュアル簿記3級 :Udemyベストセラー講座。14日間でビジネスに必須の簿記会計の基本スキルが速攻身につくカリキュラム。
- スキマ時間でビジュアル簿記2級【商業簿記編】 :Udemy最高評価。直観理解を促しての解説。(2級の試験範囲カバーには、他に工業簿記編も必要になります。)

スピーチスキル
どんな仕事の場合でも、「社内外のクライアントと話す」「成果を発表する」「仕事獲得の交渉をする」など、コミュニケーションスキルは重要になります。
特に、稼ぎ力につながりやすい「スピーチスキル」を向上させれば、一般的なプレゼンテーション、インタビュー(面接)、ネゴシエーション(交渉)など、多くのシチュエーションで有利になります。
トーストマスターズは、日本語と英語でスピーチを学び練習することができる非営利のスピーチクラブです。世界中に多くのクラブがあり、日本でも全国に全国に180以上のクラブが存在し、5千人近い会員が、トーストマスターズを通してスピーチスキルの練習をしています。会員相互のボランティアで運営されているので、とても安価であることも魅力です。
日本では、日本語のみのクラブ、英語のみのクラブ、日本語と英語のバイリンガルクラブがあります。いろいろなタイプのスピーチを練習していくことで、「人前で急に話す」「本格的なプレゼンテーションをする」など幅広いシチュエーションでのスピーチ力を付けていきます。「えー」」「まー」というような必要な言葉を、発言のいたるところで発してしまうクセを直すこともできます。

トーストマスターズについて興味を持った方のために、参考になる本を2冊ご紹介しておきます。
1冊目は、トーストマスターズの国際スピーチコンテストの世界チャンピョンのスピーチを分析&体系化した「スピーチ世界チャンプの魅惑のプレゼン術」です。トーストマスターズで学ぶスピーチの世界を垣間見ることができるでしょう。
もう1冊は、セルフブランディングのバイブルとして長く読まれてきた「トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈1〉ブランド人になれ!」です。このなかで、「話術は大切なブランド術」としてトーストマスターズが薦められています。
マーケティング
社内あるいは社外へ向けて、自分自身を商品としてみるときに、「どのように自分をプロモーションしていくか」という視点が必要になります。これまで、マーケティングに縁がなかった人も、マーケティングの基本的な知識を身につけることで、自分自身のマーケティングを考える一歩になります。
「動画で学びたい」という方は、世界最大級のオンライン学習サイトUdemy に、リーズナブルな価格で質の高いコースがたくさんあります。興味のあるところからスタートしてみてくださいね。
どんな風にマーケティングを勉強していったらよいか迷う方に向けて、参考になる本を3冊ご紹介いたしますので、参考になさってください。
1冊目は、「わかりやすいマーケティング戦略 新版 (有斐閣アルマ)」です。これまでマーケティングをほとんど学んだことがない方にとって、理論と実例を結びつけて説明したわかりやすいマーケティングのテキスト本です。
2冊目は、「ノヤン先生のマーケティング学」です。初学者から経験者まで、幅広くマーケティングのフレームワークを学ぶことができます。
3冊目は、「影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか」です。これは上記2冊とは少々違って、非常にボリュームがある古典的名著です。「どのように人は動かされてしまうのか?」ということに関する内容ですが、フリーランスや起業をしていくのであれば、さまざまな商談や人と接する状況で応用ができるので、一読しておきたい一冊です。
まとめ:自らの稼ぎ力に責任をもってキャリア選択&スキルアップ!
稼ぎ力をキープしていくだけでなく、稼げる力を増やていくことで、長期的な収入額にに大きな違いが生まれます。
どんな働き方をしようとも、自分らしいキャリア選択をして、自らの稼ぎ力に責任をもってスキルアップをしていきたいですね。
当記事が、今後のキャリアを考えるうえで参考になれば幸いです。
当ウェブマガジンの編集長マリーは、会計の分野で長らく仕事をしてきました。
マネジメントになってからは、採用や人件費の予算管理もしてきましたので、特に経理という分野にかんしては、職種やスキルレベルによる年収を細かく見てきました。