仕事上は旧姓を使っているので、会社設立の登記申請の際に、婚姻前の姓も設立登記に記録できるように申し出ました。これにより、法人の履歴事項証明書には、婚姻後の氏名(戸籍上の氏名)の後ろに括弧書きで婚姻前の氏名が記載されています。
合同会社の設立登記申請書に記載する内容が少しだけ増えますが、法務局のサイトに詳しく説明されていたので、問題なく手続きできました。
ここでは、そのプロセスを簡単に振り返ってみることとします。これから、同様の手続きをする方の参考になればうれしいです。
当記事は、2021年4月時点の情報を参考にしています。(初投稿は、2017年10月です。)

登記簿の役員欄に婚姻前の氏をも記録できる
平成27年2月27日(2015年2月27日)から、「商号登記簿の役員欄に役員の婚姻前の氏をも記録することができる」ようになりました。
「婚姻前の氏をも」となるので、婚姻後の現在の氏に併記されます。
例えば、結婚で鈴木⇒田中へ姓が変わった場合には、下記のとおり、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の業務執行社員の氏名の横に、旧姓での氏名が括弧書で併記されます。代表社員の場合も、同じように氏名の横に旧姓での氏名が括弧書で併記されます。
社員に関する事項
業務執行社員 田中花子(鈴木花子)
東京都港区・・・・・
代表社員 田中花子(鈴木花子)
参考:
当ウェブマガジンの編集長マリーの場合、仕事上はずっと旧姓(最初の結婚時の姓)を使っています。普段の仕事相手は、契約やサインのときになって初めてわたしの戸籍姓を知るので、旧姓の併記がなければ、「この人って誰?」という感じになるはずです。旧姓併記が括弧書きとはいえ「同じ人物」とわかってもらえて助かります。

この手続きを利用するとき、「結婚後に、仕事上は旧姓を使っている場合」という一般的なケースであれば、迷うことも少ないと思います。
しかし、戸籍上の姓と仕事で使っている姓が違う場合は、たとえば以下のようなケースもあります。
- 離婚後に再婚をして、仕事上は前の離婚前(結婚時)の姓を使っている場合
- 離婚後に再婚をして、仕事上は最初の結婚前の旧姓を使っている場合
- 離婚後に戸籍上は結婚時の姓を継続しているが、仕事上は結婚前の旧姓を使っている場合
- 離婚後に戸籍上は旧姓に戻しているが、仕事上は結婚していたときの姓を使っている場合
参考までに、当ウェブマガジンのマリーの場合は、上記の1番のケースだったのですが、無事にこの手続きを利用することができました。
一般的でないケースで迷う場合には、「法務局に確認する」「専門家に相談する」など、事前に対応しましょう。
専門家を利用する際に、直接の知り合いがいない場合には不安になりますが、ココナラ であれば、料金と実績を確認して依頼をできるので安心です。単発の利用にも対応している専門家を探せる点も便利です。
手続きは設立登記申請書に必要事項+添付書類
設立登記申請書への追記内容
婚姻前の氏をも記録する申出は、登記の申請人が行ないます。
様式は、法務局のサイトの記載例にあるように、設立登記申請書に以下を記載します。
(1) 婚姻前の氏を記録すべき役員又は清算人の氏名
(2) (1)の役員又は清算人の婚姻前の氏
たとえば、業務執行社員の婚姻後の氏名が田中花子で、その旧姓が鈴木の場合は、記載例を参照して設立登記申請書に以下を追記します。
下記の者につき,婚姻前の氏を記録するよう申し出ます。
なお,婚姻前の氏を証する書面として,
□戸籍の全部事項証明書・個人事項証明書・一部事項証明書,戸籍謄本・抄本
□その他( )
を添付します。
記
婚姻前の氏をも記録する者の資格及び氏名
資格 代表社員の職務執行者
氏名 田中花子
記録すべき婚姻前の氏 鈴木
添付書類
添付書面の例としては、戸籍謄本,戸籍抄本、戸籍の記録事項証明書になります。
CD-Rのテキストファイルに記載する内容
登記すべき事項を電磁的記録媒体(CD-R等)に記録して提出する場合、記載例にあるように、氏名の部分で旧姓での氏名を括弧書きで併記します。
「氏名」職務執行者 田中花子(鈴木花子)
「確実にこの日にちで会社設立したい」という場合には、法務局の窓口での登記申請を選ぶ方が多いです。その場合に必要になるCD-Rの種類については、以下の記事を参考にしてくださいね。
まとめ:括弧書きではあるが、旧姓が併記されてよかった
登記簿謄本に旧姓も合わせて記載されているので、契約の際にも余計な心配をする必要がない点はよかったです。
当記事が、旧姓を併記しての会社設立登記申請を考えている方の参考になれば幸いです。
会社設立を予定している場合、法人用の印鑑が必要になります。一度作ったら長く使うものなので、「自分好みの印鑑」を選ぶようにしたいですね。以下の記事を参考にしてくださいね。
また、印鑑の作成と並行して、会社設立に向けて「会社設立日」や「登記住所」の検討をしておきましょう。以下の記事を参考にしてくださいね。