開業したばかりの個人事業主・設立したばかりの新設法人の場合でも、ビジネス用のクレジットカードを持つと便利です。起業間もなく実績がないからビジネス用のクレジットカードは無理だろうと思いがちですが、そんなことはありません。
ここでは、ビジネス用のクレジットカードのメリット・選択の留意点を確認するとともに、
- ポイント還元がお得なビジネス用クレジットカード
- 起業間もないスモール起業向けのクレジットカード
- 仕入れ用の決済に利用したいビジネス用クレジットカード
など、個人事業主・小さな法人向けのタイプ別カードをご案内いたします。
当ウェブマガジンの編集長マリー@smallbiz_projが、実際に利用しているカードもご紹介しますので、体験に基づいたビジネス用クレカ情報を知りたいという方は、ぜひ参考になさってください。
当記事は、2022年2月に加筆・修正しました。(初投稿は2018年7月です。)
ビジネス用のクレジットカードを持つ3つのメリット
自分ひとりのビジネスであれば個人のクレジットカードで充分ではないか?と考える方も多いかもしれませんが、スモール起業(個人事業主や小さな法人)の場合でもビジネス用のカードをもつと、いろいろな点で利便性があります。
1. 経理処理の効率化
ビジネス用のカードがあれば、いろいろな支払いをそのカードで支払うことで、請求書処理を減らすことはもちろん、個人としての立替え払いを減らすことができます。それによって、経理処理がシンプルに効率化することができます。
また多くのクラウド会計ソフトでは、主なクレジットカード会社のデータ連携で取り込みをできるので、データ入力が効率的におこなえます。
2. 経費管理の利便性
個人のカードを利用していると、カード明細には個人の支出も掲載されるので、経費書類として利用する際に個人の支出が載った明細をビジネスの書類として使用&保管しなくてはなりません。ビジネス専用のカードを持てば、カード明細にはビジネス用の支出のみが掲載されるので、個人とビジネスをしっかり分けることが可能になります。
また、カードによっては少額決済に便利な電子マネーが使えるので、少額のものもカードで支払うことができます。「ビジネス用の現金処理を減らせる」「少額の支払いも後払いにできる」という点でとても便利です。
起業当初や、いろいろな費用が発生しがちです。クレジットカードは、法人または個人事業主用の「銀行口座を開設⇒クレカ申込み⇒審査⇒カード発行&送付」という流れをたどるので、クレジットカード入手までに、ある程度の日数がかかります。
そのため、クレジットカードを入手できるまでの間は、ビジネス用の銀行口座を開設するときに、銀行口座開設と同時にデビットカードが発行されるタイプの法人口座・個人事業主向け口座を選ぶと便利&安心です。
起業してすぐの銀行口座の開設に関しては、以下の記事も参考にしてくださいね。
3. 出張時の旅行傷害保険
カードの種類によって内容は違いますが、多くのビジネス用カードには、なんらかの旅行傷害保険の利用が可能になっています。自分のビジネスで出張が多い場合には、ビジネス用の旅行傷害保険は検討の価値が大きいです。
電話については、個人事業主やひとり社長であると、「確実に電話に出ることができない」という不安があります。
また、「固定オフィスを持たない」「オフィスの場所は流動的」という状況で、固定電話の設置を躊躇してしまう、という状況もあるかもしれません。
上記のような場合には、03番号や050番号を取得できる電話代行サービスがおすすめの選択肢です。
多くの電話代行サービスは平日の9時~18時ですが、特に個人を対象としたビジネスでは、平日夜間や土日にも電話代行をお願いしたい状況もあります。
そんなときには、土日を含めて365日、最大で9時から21時まで対応が可能なBusinessCallなど、対応時間が長い電話代行サービスを検討してみるとよいでしょう。電話に関する悩みの解決策につながるはずです。

スモール起業のクレジットカード選択の5つのポイント
このコーナーでは、「ひとりビジネス」または「数人までのスモールビジネス」の場合に、実際にクレジットカードの選択するときに留意すべきポイントを見ていきます。
1. 年会費
ビジネス用のクレジットカードには、年会費が無料の一般カードタイプのものから、年会費が数万円のゴールドカードタイプのものまであります。
- 年会費は、結局は以下で説明する利用可能額・付随サービス・旅行傷害保険などのサービス内容と関係しています。「年会費に見合うサービス内容であるか」を検討しましょう。
- ビジネス用のカードの年会費は、一般的に経費として費用化可能ですので、年会費の安さだけにフォーカスするのではなく、「自分のビジネスが必要とするサービス内容であるか」を確認しましょう。
2. ポイント還元
個人向けのクレジットカードと比較して、法人向けのクレジットカードのポイント還元率は、低めのものが多いです。
また、最終的にポイント還元を受けるまでに、いくつかのプロセスが必要だったりすると、結局はポイント還元を使えない場合もあります。
一般的には、シンプルに「還元率が高い」「還元方法がキャッシュバック」というものが、使いやすいでしょう。
3. 利用可能額
同じ一般クレジットカードでも、クレジットカード会社によって初期設定の利用可能額はかなり違います。
カード会社によっては、一般カードでも高めの利用可能額が設定されているので、ビジネスが必要とする利用可能額を想定して、カードを選ぶことにしましょう。
4. 付随サービス
それぞれのカードに独自の各種の関連サービスがあります。たとえば、電子マネー、国際ブランド、旅行関連のサービスなど、多岐にわたります。
また、使用者用の追加カードを利用する場合には、発行への対応や手数料、追加カードへのサービス内容なども確認したい項目です。
また、ガソリン提携カードやETCのみの追加カードなど、状況によってはとても便利なサービスがあるので、ビジネスの状況に合うお得なサービスがあるカードを選ぶのがコツです。
5. 旅行傷害保険
クレジットカードに付帯する旅行傷害保険の金額と内容、そして自動付帯か利用付帯か(カードでの旅費の支払いが条件となるか否か)がチェックポイントになります。
自動付帯であれば、「持っているだけで安心&お得」になりますが、利用付帯であれば「保険が適用される条件を満たす必要」があります。
自動付帯か利用付帯かは、実際の利便性に大きく影響するので、必ず確認するようにしましょう。
次のコーナーでは、小さな起業で使いやすいタイプ別クレジットカードを具体的に見ていきましょう。
スモール起業におすすめのタイプ別クレジットカード3選
NTTファイナンス Bizカード:ポイント1%コスパのよい定番カード!
NTTファイナンス Bizカードは、「通常のポイント還元率1%」「レギュラーカードの年会費無料」など、ビジネス用クレジットカードのなかで、コスパの高さが際立つカードです。
- 年会費無料:代表者カードも使用者カードも、レギュラーカードの年会費は永年無料です。
- ポイント還元率1%:ビジネス用カードとして最高レベルの還元率。還元方法の手続きがシンプルな点も魅力です。専用モールを通じたショッピングでさらに還元率アップ。ポイントはキャッシュバックや電子ギフトへ交換可能。
- 利用可能額が高めの設定:レギュラーカードでも、与信枠が40万円からの設定です。
- 旅行傷害保険が充実:レギュラーカードでも2000万円の海外旅行傷害保険(自動付帯)と国内旅行傷害保険(利用付帯)がついています。
- 国際提携はVisa:カードの国際提携ブランドは、世界で最も利用されれているVisaです。
- 以前は別の法人カードを使っていましたが、「ポイント還元率の高さ」「キャッシュバック可能」「年会費無料(代表者&使用者)」という3つの点から、メインのカードをこちらのNTTファイナンスBizカードへ替えて、現在利用中です。
- 利用して思ったのは、旅行傷害保険が自動付帯である点は、安心感があります。
- ウェブ明細の編集機能も、スモール起業の会計にとっては、とても便利な機能です。
- 申込み後に法人の電話番号に連絡が来ると思っていましたが、当社の場合は特に連絡はなかったようでした。
- 使用者カードも年会費無料、基本的に代表者カードと同様のサービス(旅行傷害保険など)なので、とてもお得なビジネスカードだと思います。
ビジネス用クレジットカードとして一般カードを考えているならば、NTTファイナンスBizカードは、個人事業主でも法人でも、コスパ&利便性の高さから定番の一枚としてぜひ持っていたいクレジットカードといえるでしょう。
マネーフォワードビジネスVISAカード:小さな起業におすすめのカード
マネーフォワードビジネスVISAカードは、クラウド会計のマネーフォワードが三井住友カードと提携して提供している中小企業・個人事業主に特化したクレジットカードです。

(こちらは、マネーフォワードが発行している事業用のプリペイド型カードではなく、支払いが後払いとなるクレジットカードです。)
- 事業者向けのサービスが充実:クレジットカード大手の三井住友サービスによる充実したサービスです。一般カードに加えて、ゴールドカードもあります。
- 小さな起業向けの特典あり:申込みにあたっては、開業時に役立つさまざまな特典を利用できます。
- 法人代表者のみの情報で申込み可能:申し込み時に登記簿謄本・決算書の提出が不要です。設立間もない法人でも安心して申し込みできます。
- マネーフォワードとの連携:クラウド会計ソフトのマネーフォワードと連携すれば、明細データを自動で取得。経理業務の効率化につながります。(マネーフォワードクラウドに登録しなくても、申込み&可能です。)
- リーズナブルな年会費:インターネット申込みで初年度は年会費が無料になります。
- 海外旅行傷害保険はカードカテゴリーにより最高2000万~5000万円。ただし、クラシックは利用付帯(事前に旅費などを当該カードで支払う必要あり)。さらに、ゴールドには利用付帯で国内旅行傷害保険もあります。
- それぞれのカードにメリット・デメリットがありますが、三井住友カードは、「安心して利用できる」という点に大きな特長を感じます。万が一の不正利用などにも、かなり積極的に対応してくれています。
- 大きな金額を使うことの多い事業用カードにおいては、三井住友カードと連携したマネーフォワードビジネスVISAカードは、安心の選択肢といえるでしょう。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード:仕入れ決済など大きな額の利用に安心&お得なカード
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードは、仕入れ決済やオフィス家賃支払いなど日常的に決済金額が比較的大きいビジネスモデルの場合におすすめのクレジットカードです。
- 一律の限度がない利用枠:一律の利用限度がなく柔軟に対応してもらえます。仕入れでの決済やオフィス家賃、事業に関わる税金の納付、通信費、広告費、オフィスサプライなど様々な経費の支払いを、カードに集約できます。
- ポイント還元率1%相当:アメリカン・エキスプレスのポイント・プログラム「メンバーシップ・リワード®」は、基本的に利用代金100円=1ポイント換算。多額の支払いついて、ポイントをためることができます。
- 多彩なビジネスサポート:商談・接待のサポート、カード会員限定イベント、調査・コンサルティング、福利厚生や無料電話健康相談など、ビジネスに役立つ幅広いサービスを利用可能です。
- 万全なトラベルサービス:「空港ラウンジのご利用」「手荷物無料宅配サービス」「手厚い旅行傷害保険」「エアポート送迎料金優待」「航空機遅延や出張キャンセル時の補償」など、さまざまな特典が充実しています。
仕入れにクレジットカードを使うことで、さまざまなメリットが考えられます。
- 後払いになることにより、キャッシュフローに余裕が生まれる。
- 仕入れ資金としてクレジットカードの与信枠を利用できる。
- 多額の支払いにポイントを得ることができる。
決済面での充実度のみならず、出張が多い方に断然おすすめなのがアメリカン・エキスプレスのサービスです。当ウェブマガジンのマリー@smallbiz_projは、会社員時代にコーポレートカードとしてアメリカン・エキスプレスを国内勤務・海外勤務時代の両方で利用してきました。トラベル関連サービスの充実度&安心度は他に類をみないレベルなので、出張が多いビジネスでのアメリカン・エキスプレスのサービス利用価値はとても高いです。
考慮点としては、アメリカン・エキスプレスは、非常にまれに利用できる場所が限られる場合があります。そのため、1枚目のビジネス用クレジットカードとしては、上記でご紹介したNTTファイナンス BizカードやマネーフォワードビジネスVISAカード
などのように、「国際提携先がVisa」でかつ「年会費が無料または安い」タイプを選び、多額の決済をメインに使う2枚目のカードとしてアメリカン・エキスプレスを選ぶというのが、実務的な選択肢となってくるでしょう。
状況に応じて使い分けることで、それぞれのクレジットカードのメリットをいっそう活かすことができます。
まとめ:自分のビジネスモデルに合うカードを選ぼう
上記で見たように、ビジネス用のクレジットカードには、それぞれの個性が強くありますね。
それらをよく理解して、自分のビジネスの状況に合うカードを申し込むようにしましょう。
当記事が、これからビジネス用のクレジットカードを申し込む方の参考になれば幸いです!
- NTTファイナンス Bizカード
:スモール起業の定番。コスパのよい使いやすいカード
- マネーフォワードビジネスVISAカード
:起業向けのサービスが充実しているカード
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード:多額の決済にも安心
ビジネス用のクレジットカードを申し込む前に、法人用あるいは個人事業主用の銀行口座が必要となります。銀行口座開設については、以下の記事もご参考にしてくださいね。
実際に、カード申込み時に提出する情報は、ほとんど個人または代表者の情報に関する内容となっています。
留意点としては、「電話番号が確実に通じること」「郵送物が転送なしできちんと届くこと」などが挙げられます。