印鑑は、長く使っていくものです。ましてや、起業して設立する会社の印鑑であれば、自分の好みの印鑑を作りたいですね。
とは言っても、急いで印鑑を作らなければならない状況となると、重要な点を理解しないまま慌てて作ってしまいがちです。しかし、会社の印鑑は、そう簡単に変更するものではないので、大切な選択肢についてはしっかり理解して選ぶべきものです。
合同会社を1週間で設立したわたし自身の体験から、タイプ別におすすめの印鑑ショップとこれだけは理解しておきたい印鑑選びのポイントをまとめました。
「自分好みの法人用印鑑をつくりたい」と考えている方の参考になれば嬉しいです。
当記事は、2021年4月時点の情報を参考にしています。(初投稿は、2017年4月です。)
代表者印・銀行印・角印の3種類を用意
会社設立にあたっては、まず以下の3種類の印鑑を用意すれば充分です。
会社設立の登記申請には代表者印のみが必要となりますが、会社設立後にすぐに銀行口座の開設やその他の事務手続きが待っていますので、同時に銀行印と角印を作っておくのが便利です。(印鑑ショップでは、上記の3種類の印鑑をセットにしたものを「会社設立3本セット」「法人用3本セット」として販売しています。)
- 代表者印:会社の実印にあたるものです。会社を設立するときに、法務局へ登録印鑑です。商業登記規則第9条の第3項にサイズの規定があり、「印鑑の大きさは、辺の長さが一センチメートルの正方形に収まるもの又は辺の長さが三センチメートルの正方形に収まらないものであつてはならない」とあります。
- 銀行印:銀行口座の開設や関連の金融取引・事務手続き等に利用します。これらに代表者印を使っても問題はないのですが、個人の場合でも実印を銀行取引で使わないのと同様で、代表者印とは別に銀行印を作るのが普通です。
- 角印:社印とも呼ばれ、請求書や領収書など、日常の取引一般に利用します。名前のとおりに、四角い形をしています。
その他のゴム印やスタンプは、設立後に必要に応じて購入することで充分です。
会社設立には、法人の代表者員とは別に、発起人・取締役・代表取締役の個人実印(株式会社の場合)、代表社員の個人実印(合同会社の場合)も必要になります。
個人の実印も新たに作成する必要がある場合には、合わせて手配するようにしましょう。
タイプ別おすすめの印鑑通販ショップ3選
幅広い商品と価格レンジのなかから、自分好みの印鑑をつくれるところが印鑑通販ショップの魅力です。校正確認などの専門店ならではのサービスもありますし、お店まで行く時間も節約できます。
一見すると似たように見える印鑑通販ショップですが、それぞれ得意とする強味があります。各ショップが得意とするポイントを理解してのショップ選びが、自分好みの印鑑へとつながります。
ここでは、タイプ別におすすめの印鑑通販ショップを3つ厳選してご紹介いたしますので、自分の好みと状況に合うショップを選んで、お気に入りの印鑑を作成してくださいね。
はんこプレミアム:定番&急ぎで注文したい場合におすすめ
はんこプレミアム は、印鑑通販ショップの大手で価格・品質・スピードのバランスがとれているお店として知られています。印鑑専門ショップとして品揃えやサービスが充実しており、印鑑の10年保証をしています。

- 印鑑・はんこを自社製造加工しています。
- 最短で即日出荷に対応しています。
- すぐれた耐久性で人気のあるチタン印鑑が人気です。
はんこプレミアムのチタンでは、通常のチタン に加えて、他社ではあまり取り扱っていないブラックチタン・ゴールドチタンにも対応しています。
- 厳選した純度99%以上のチタンを使用
- 1本1本丁寧に「下地処理」することでワンランク上の上質な手触り
- 「イオンプレーティング」を施したことで、いっそうの耐久性・耐摩耗性
が実現されています。



当ウェブマガジンの編集長マリーは、会社員時代に、CFOとして会社の法人印鑑一式を管理していた経験があります。そこで感じたのは、長く使っていると、印鑑の木目調の部分は意外に汚れてくることでした。薄い色だと汚れが目立ちがちになります。
だから、印鑑の素材は長く使う前提で選ぶのが大切と思います。最近はチタン製の印鑑が人気というのも納得です。耐久性だけでなく、印面のなめらかさ・デザイン性でも、他とは一線を画した印鑑材質と言えます。
はんこプレミアムは、「定番の印鑑をつくりたい」「急いで発送してほしい」「どのショップを選んだらよいか迷ってしまった」という状況には、選んで安心のショップといえるしょう。さらに、チタンの印鑑、特に「ブラックチタンやゴールドチタンの印鑑をつくりたい」という場合にも、はんこプレミアムは貴重な選択肢となっています。
Sirusi:スタイリッシュなデザイン印鑑におすすめ
【Sirusi】(しるし)は、新しいタイプのデザイン印鑑で人気のある印鑑ショップです。
法人用としては、ベンチャー印グラフィー、デジタル印鑑、代表印代わりの認印をセットで作成できる印鑑4本セットなどに、他社にない強味があります。

- 印鑑と印面の10年保障があります。
- 納期の相談にも対応してくれます。
- 起業&会社用の新しい印鑑「ベンチャー印グラフィー」が人気です。外周のデザインには外に広がる発展をイメージさせる”ディスク”を配置し、内円のデザインには3種のデザインパターンから選べます。
法人用印鑑作成に関してSiruiの特筆すべきサービスとしては、さらに下記の3点も挙げられます。
- 創業応援印鑑4本セット:これは、代表者印(登記用)、銀行印(法人口座用)、角印(書類や契約用)に加えて、代表者印の代わりの認印がついたセットです。(契約書などによっては登記用の代表社印である必要がない場合も多くあり、代わりに使う認印です。セキュリティ対策になります。)
- デジタル印鑑の作成:これは、一本一本デザインした印鑑イメージを画像データー化し、デジタル印鑑(電子印鑑)として提供するサービスです。
・画像データにした印鑑画像を、見積もりや納品書(WordやExcelなど)に配置可能。
・高解像度データーとしてイラストレーターファイルでの提供にも対応。 - シェスタをプレゼント:法人印鑑2本以上の購入で、朱肉とスタンプ台が一体化した利便性抜群の“シュスタ”がプレゼントされます。(シェスタは、987年にグッドデザイン賞を受賞してから30年以上、常に一線級の活躍をしている人気アイテムです。)
Sirusiは、法人用の印鑑であっても、「スタイリッシュな印鑑がほしい」という場合に特におすすめです。創業応援印鑑4本セットでは、書体として「ベンチャー印グラフィー」を選べば、自社のシンボルとしての個性的な法人用印鑑をつくることができます。
「脱はんこ」の流れはありますが、個人や法人の「実印」がすぐになくなる、といったことはないでしょう。
しかし、実務的なやりとりにおいては
- 電子印鑑:ここでご紹介した
【Sirusi】(しるし)の「デジタル印鑑」ような印章のデジタル画像を利用したもの
- 電子サイン:署名(サイン)のデジタル画像を利用したもの
の導入が急速に進んでいます。
当ウェブマガジンの編集長マリーの経験でも、このところ海外と契約する場合は「電子サイン」を利用する方が普通で、もう紙の上に手書きで書くサインの利用はなくなっています。
自分の電子サインのために、「自分らしい署名」「おしゃれなサイン」をほしいという方は、署名ドットコムのサービスが参考になるかもしれません。以下の記事を参考にしてくださいね。
天章堂:手書き&手彫りのレトロな美しさを誇る老舗ショップ
「天章堂」は東京国分寺市にある、昭和36年創業の印鑑専門店の老舗です。
「手書き文字」「手彫り仕上げ」のレトロな文字の美しさに特徴があり、ホームページを通じて、全国からの注文に対応しています。

- 圧倒的なクオリティがあります。「手書き」「手彫り」のレトロな美しさを特徴とし、印材・彫刻技術・デザイン力に抜群の品質を誇っています。
- 藤原流篆書(てんしょ)という天章堂オリジナルの書体があります。他店が同じものを作ることはできませんので、高いセキュリティが求められる実印や銀行印に最適です。
- 印材として政府認定の象牙も扱っています。象牙は、これ以上の印材はないと言われる印材の最高級品で、天草堂では政府認定の象牙を扱っています。「美しさ」「耐久性」「朱肉吸着性」のいずれも優れており、いつまでも鮮明な印影を得ることができます。(天章堂の売れ筋です。)
天章堂は、実店舗もあるところが、通販だけの印鑑ショップとは違う点ですね。
上記の2店舗と比較して、出荷までの日にちはかかりますが、記念すべき印鑑ですから、「書体や印材にこだわりをもちたい」「レトロな美しさを重んじたい」という方におすすめのショップです。
印鑑を選ぶときの5つのポイント
法人用の印鑑を注文するときには、以下の5つのポイントを留意しておくようにしましょう。
1. 印鑑のサイズ
代表者印のサイズは18ミリが一般的です。文字数が多い場合には、丸印でも21ミリの大きめサイズがおすすめです。
銀行印は18ミリ、角印は21ミリまたは24ミリサイズが一般的です。これらも、文字数が多い場合には少し大きめサイズにするとよいでしょう。
代表者印と銀行印を同じ形状で作る場合には、代表者印21ミリ・銀行印18ミリというように、サイズを変えておくとひと目で違いがわかるので便利です。
2. 印鑑の素材
予算と好みで選べばよいですが、以下は会社の印鑑としておすすめの代表的な素材です。
- 薩摩本柘(さつまほんつげ):鹿児島産の最高級ランクの柘印材。明るく温かい木目が特徴で、コストパフォーマンスもよい。
- 彩華(さいか):耐久性の高い、環境関連企業団体にも推薦されているエコ印材。天然の木材の様な美しい木目が特徴。
- 黒水牛芯持(くろすいぎゅうしんもち):印鑑素材として定番の水牛の黒い角を加工した印材。高い耐久性と黒く美しい艶が特徴。
- オランダ水牛色上芯持(おらんだすいぎゅうぎゅうがくしんもち):白っぽい水牛の角を使った希少性の高い美しい印材。
- チタン:捺印性能が非常に高く鮮明な捺印が可能。金属ならではの重量感、手に取った瞬間の重みが高級感と満足を与えてくれる印材。
3. 印鑑の形状
丸印・角印それぞれに、寸胴タイプと天丸タイプがあります。
- 寸胴タイプ:上から下まで同じ太さの印鑑です。天丸タイプよりも価格が安めです。
- 天丸タイプ:手にフィットように途中が少し細くなっていて、キャップがついています。キャップで印面が保護される反面、温度や湿度でキャップがきつくなったり緩くなったりすることがあります。
4. アタリについて
捺印するときに、印鑑の上下がわかりやすいように、印面の上部につけた印のことをアタリと呼びます。曲がらず真っ直ぐに捺印しやすくなります。
印鑑の素材や形状によってアタリが付けられない場合があるので、アタリ付きの印鑑を希望するならば、それらの選択に注意をします。
5. 文字の書体
捺印された印鑑の印象を決めるのは、文字の書体です。印鑑として利用される主な書体には、以下の6種類があります。
- 印相体(いんそうたい):篆書体を進化させた印鑑らしい書体。吉相体とも呼ばれる。
- 篆書体(てんしょたい):中国漢字をベースにした柔らかさのある書体。
- 古印体(こいんたい):可読性を保ちながらも味わいのある書体。
- 行書体(ぎょうしょたい):文字を崩した流れるような字体。
- 隷書体(れいしょたい):篆書体をベースに現代文字的に簡略化された書体。
- 楷書体(かいしょたい):隷書体を日本的な筆書き文字に変化させた書体。
これらのうち、会社の印鑑としては、特に代表者印・銀行印では、セキュリティの視点から可読性が低めの書体である篆書体または印相体がおすすめです。
角印の場合においても、これらの書体は人気ですが、読みやすさという点では古印体・隷書体もおすすめです。
印鑑用サプライも一緒に用意しておく
朱肉または印泥
印鑑ケースについている小さい朱肉ではなく、専用の朱肉 を使って捺印すると、やはり映りがきれいです。
捺印マット
きれいに捺印するためには、捺印マット を利用するようにしましょう。

まとめ:記念すべき印鑑だからこそお気に入りをオーダーしよう
上記で見たように、同じ印鑑とはいっても、ショップによっていろいろな特徴や違いがあります。
スモール起業での法人用印鑑は、自分の起業を記念すべき大切なものですから、各ショップの特徴、そして印鑑選択のポイントを理解して、自分のお気に入りの印鑑をオーダーしてくださいね。
当記事が、法人用印鑑を作ろうとしている方の参考になれば幸いです!
印鑑の作成と並行して、会社設立に向けて「会社設立日」や「登記住所」の検討をしておきましょう。以下の記事を参考にしてくださいね。