会社の設立登記申請書の書類一式を作成したときに、一緒に提出するCD-Rについて、何を使えばよいのか、何を保存すればよいのか、かなり迷ってしまいました。
行政書士などの専門家の方々にとっては当然すぎることなのだと思いますが、わたしと同じような方もいるかもしれません。
その体験から、「登記すべき事柄を記録するCD-R」の種類と作成方法について、まとめました。
当記事は、2021年4月時点の情報を参考にしています。

どんなときにCD-R提出なのか?
法務局の商業・法人登記の申請書様式にある設立登記申請書の記載例(株式会社設立登記申請書記載例、合同会社設立登記申請書記載例)のなかに、「登記すべき事項」という欄があります。
ここの注意書きで、オンライン提出でないならば、「別添えCD-Rのとおり」等と記載して、「当該CD-Rを申請書と共に提出してください」とあります。
つまり、オンライン提出でないならばCD-Rを提出する必要があるのです。

マリーは、ウェブサイトを見るときには普段はChromeを使っています。ただ、役所関係のサイトでは、Chromeだと文字化けすることがあります。
その場合には、Internet Explorerを使えば、解決することが多いです。文字化けした方は、ウェブのブラウザにInternet Explorerを使って確認してみてくださいね。
提出するCD-Rの種類について
詳しい説明は、法務省サイトの下記ページにあります。
商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出について
ここに、下記のように使用できる電磁的記録媒体の種類がリストされています。
電磁的記録媒体の種類:
日本産業規格X 0606形式又はX 0610形式に適合する120mm光ディスク
(例)CD-R,DVD-Rなど(法務省HPより)
ここでは、CDについて、どのようなものを用意すればよいのか、確認してみましょう。
- CD-Rは、”Compact Disk Recordable”の略で、データを一度だけ書き込めるCD。いったん書き込んだデータは消去できない。
- CD-ROMは、”Compact Disk Read Only Memory”の略で、コンパクトディスクをコンピュータ用の記憶媒体として使ったもの。読みとり専用なので、データを書き込むことはできない。
⇒つまり、自分でCDへ書き込みをする(=提出用のCDを自分で作成する)場合には、CD-Rを使うということになります。
- JIS X 0606形式とは?:JIS(日本工業規格)におけるCD-ROMのファイル構造のことで、ISO(国際標準化機構)でのISO 9660:1988になります。ISO 9660 に準拠することで、様々なオペレーティングシステムで、CDを読み込むことが可能になります。
- 120mmとは?:CD-ROM・CD-Rの直径が120mm(=12cm)という意味。一般に売られているサイズです。
⇒(これ以上詳しいことはわからないのですが)法務局の相談窓口に聞いたところ、「一般的に売られているデータ用のCD-Rを使えば大丈夫」とのことでした。「あなたみたいに、ここまで聞いてくる人はいないよ~」みたいな対応されましたから、法務省のホームページには細かく形式がでていますが、あまり気にしなくてもよさそうです。

CD-Rにはデータ用やミュージック用がありますが、今回はデータ用で十分ですね。申請書類と一緒に持ち歩きしますから、CDケースが付いているものが便利ですね。
記録の方法について
上記の法務省のサイトに、記録の方法として、細かい注意事項が記載されています。
記録の方法
- 文字コードは,シフトJIS(※)を使用し,すべて全角文字で作成してください。
- 文字フォントは,「MS明朝」,「MSゴシック」等いずれのフォントを使用していただいても構いません。
- 使用する文字は,Microsoft(R) Windows(R)端末で内容を確認することができるもので作成願います。特に,(1),(2),(3)等の文字は,OSが異なると文字化けすることがありますので御留意ください。
- タブ(Tab)を使用しないでください。字下げや文字の区切り等により空白が必要な場合は,スペース(全角)を使用してください。
- 数式中で使用する分数の横線は,「─」(シフトJISの0X849F(区点:0801))を使用してください。
- ファイルは,テキスト形式で記録し,ファイル名は,「(任意の名称).txt」としてください。(例 株式会社・設立.txt)。
- 電磁的記録媒体には,フォルダを作成しないでください。
- 1枚の電磁的記録媒体には,1件の申請に係る登記すべき事項を記録してください。
- 電磁的記録媒体には,申請人の氏名(法人にあっては,商号又は名称)を記載した書面をはり付けてください。
※シフトJISであっても,JIS X208に含まれないIBM拡張文字,NEC選定IBM拡張文字及びWindows外字はご利用いただけませんので,御注意下さい。(法務省HPより。赤字は当サイトで追記。)
これらの各項目に留意しながら、次の項で説明するテキストファイルを作成していきます。
提出用CDーRの作成について
テキストファイルの作成と保存
CD-Rには、「登記すべき事柄を保存」することになります。
記録する内容については、法務省のサイトの登記事項の作成例一覧から、該当のファイルをダウンロードして利用します。
合同会社の場合には、0104合同・設立.txtをダウンロードすると、テキストファイルに以下の内容がありますので、適宜修正してファイルを完成させます。
「商号」○○商店合同会社
「本店」○県○市○町○丁目○番○号
「公告をする方法」官報に掲載してする
「目的」
1 ○○の製造販売
2 ○○の売買
3 前各号に附帯する一切の事業
「資本金の額」金500万円
「社員に関する事項」
「資格」業務執行社員
「氏名」法務商事株式会社
「社員に関する事項」
「資格」業務執行社員
「氏名」法務一郎
「社員に関する事項」
「資格」代表社員
「住所」○県○市○町○丁目○番○号
「氏名」法務商事株式会社
「職務執行者」
「住所」○県○市○町○丁目○番○号
「氏名」職務執行者 法務太郎
「登記記録に関する事項」設立
特に、文字はシフトJIS、全角を使うことに気を付けます。
内容が完成したら、上記の記録の方法の6番に「テキスト形式で記録し」とあるとおりに、そのままテキストファイルのまま、例えば「XXX合同会社.txt」とファイル名を付けて、CDーRに保存をします。
電子定款の場合はCD-Rにテキストファイルと電子定款を保存
電子定款を利用する場合には、上記で作成したテキストファイルの他に、電子定款のファイルも提出する必要があります。その場合には、同じCD-Rに保存すれば大丈夫です。
つまり、電子定款の場合には、自分で用意したCD-Rを使う場合でも、電子定款作成を依頼した司法書士・行政書士から納品された電子定款が保存されたCD-Rを使う場合でも、最終的には、テキストファイルと電子定款の2つのファイルを保存したものが、法務局へ提出用のCD-Rになります。
CD-Rに法人名を記載した書面をはり付ける
上記の記録の方法の9番に「申請人の氏名(法人にあっては,商号又は名称)を記載した書面をはり付けてください。」とあるので、ラベルに法人名を記載して、CD-Rに貼ります。
これで、提出用のCD-Rが完成しました。
ラベル作成は、CDについているものを利用してもよいですが、テプラなどのラベルプリンターがあれば便利です。
起業すると、どうしても紙でとっておかなくてはならないものがあって、ファイルが増えてきます。手書きではなくテプラでファイルのタイトルを作成するだけで、気持ちよい&プロフェッショナルな印象になります。
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オンラインで提出する方法について
法務省サイト内の登記・供託オンライン申請システムによる登記事項の提出についてにおいて、「登記すべき事項をオンラインで提出する方法」のメリットが説明されています。
- 申請用総合ソフト(無料)を用いることにより,申請書を簡単に作成することができます。
- オンラインによって,受付番号,補正,手続終了等のお知らせを受けることができます。
- 電子署名及び電子証明書を添付する必要はありません。
(法務省HPより)
詳しい方法は、同ページからのリンクファイル「オンラインによる登記事項提出手続の流れ」において説明されています。
さらに、「商業・法人登記のオンライン申請について」では、オンラインによる登記の申請手続きが説明されています。
(1)「従来の方法」の場合は、CD-Rを作成する必要がある。登記申請のために法務局へ行く必要がある。
(2)「オンラインによる登記事項提出」の場合には、CD-Rの作成は必要なくなるが、反対に申請用総合ソフト等をダウンロードする必要するなど、オンラインでの登記事項提出のための追加手続きがある。法務局へ行って申請書類一式を提出して登記申請することは、(1)の方法と変わりない。
(3)「オンライン申請」の場合は、(2)と同様に申請用総合ソフト等のダウンロードなどからはじまり、オンライン申請の手続きをする。オンラインで申請データの送信ができるので、登記申請のために法務局へ行く必要はない。
法務省サイトでは(2)および(3)のオンライン利用が推奨されている雰囲気を感じますが、申請を自分で行なう場合には、どちらが効率的かは、状況によるかもしれません。
- マリー自身が会社を設立したときには、(1)の方法でした。当時は(1)のCD-Rを使う方法が主流でしたし、1回だけの作業でソフトをダウンロードしたりオンライン登録をするのほうが面倒だと感じました。さらに、確実に決めた日を「会社設立日」にしたかったため、その日に法務局へ出向きました。
- その後、法人の定款変更時に、「申請書総合ソフト等」をダンロードして使おうとしましたが、ダウンロードの段階で手続きにつまづきました。個人的には、(政府系のアプリにありがちですが)あまり使い勝手はよくない印象なので、非常に稀にしかない法人の登記関連手続きで、一般の人に推奨されるかは、各自の判断によるかと思います。(何回もこの類の手続きをする司法書士さんなどの専門家であれば、多少手続きに慣れるのに時間はかかっても、(3)の方法が便利であることは自明なのですが・・・)
いろいろ細かい作業を自分でやるよりも「専門家に依頼してしまいたい」という場合もありますね。
単発でお願いしたい場合には、さまざまな士業専門家から選べるココナラ が便利です。料金や実績を確認しながら選べるので安心です。
尚、どの士業の方に相談&依頼するかについては、以下を参考にしてくださいね。
- 定款の作成:行政書士(あるいは司法書士)
- 会社の設立登記:司法書士
- 税金に関すること:税理士
- 社会保険に関すること:社会保険労務士
- 補助金・助成金に関すること:中小企業診断士等
まとめ:はやめにCD-Rを準備しておこう
専門家であれば当然のことでも、自分でやると慣れていないことなので、戸惑ってしまう場合があると思います。終わってしまえば簡単なことですが・・・。
上記記事が、会社の設立登記申請の「登記すべき事項を記録したCD-R」を作成するときの参考になれば幸いです。
会社設立で使う登記の住所は決まりましたか?
スモール起業で自宅以外の住所で法人設立の場合には、シェアオフィスやバーチャルオフィスも選択肢になります。下記の記事も参考にしてくださいね。
マリーが会社設立した当時は、この類のサービスが始まっていなかったのですが、今のタイミングで「自分で会社設立手続き」をしたいのであれば、クラウド会計ソフト各社の会社設立サービスを利用しながら作業すると効率的です。専門知識がなくても、会社設立に必要な書類を作成することができます。
たとえば、マネーフォワードクラウド会社設立
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