起業して会社設立後の最初の事務手続きのひとつが、法人用の銀行口座の開設です。マリーの場合はシェアオフィスを利用しての起業だったので、銀行口座の開設にも気をつかいました。
ここでは、小さな起業での法人口座開設に関して事前に留意&準備すべきことを、実際に手続きした経験から気付いたことを中心に説明します。バーチャルオフィスやシェアオフィスを利用している場合の口座開設に関する注意点についても触れていますので、同じような状況の方の参考になれば嬉しいです。
当記事は、2021年4月時点の情報を参考にしています。(初投稿は、2018年8月です。)
スモール起業の法人口座申込みの事前準備
銀行口座の開設というと、必要書類の準備に目がいきがちですが、書類以外にも重要な準備があります。
実務的には書類作成よりも時間がかかることので、会社設立後すぐに銀行口座を開設するためには、事前に準備を進めておくようにします。
1. 会社のホームページを作りこむ
口座開設の書類に、ホームページのアドレスを記入する欄がある場合がほとんどですので、法人の会社概要・事業内容・代表者情報を含めたホームページを作っておくようにします。ホームページは、銀行による事業内容の審査時の参考資料として利用されます。
ホームページの作成にはある程度の時間がかかりますので、会社を設立してから始めるのではなくて、「会社設立の前に」あるいは「会社設立の手続きと並行して」準備することをおすすめします。そうすれば、法人の登記完了後にすみやかに法人口座開設の申込み手続きへ進むことができます。
- 事業内容をわかりやすく:その分野の専門外の人でもビジネスの内容を理解できるように、わかりやすい言葉で説明するようにします。
- 関連資格や許認可:事業をしていく上で必要な資格や許認可があれば、可能はものは事前に取得して、ホームページにも記載します。
ホームページ制作は専門業者に依頼することもできますが、簡単な方法としては、まずは「法人ブログでスタートする」という方法があります。
ブログであれば、「会社設立の前から少しずつ準備をできる」「テンプレートを利用すれば大きな金額を必要としない」というメリットがあります。
法人ブログとしては、「一度の購入で複数サイトで利用できない」タイプのテンプレートの方が、オリジナリティを出せるような気がします。なぜなら、複数サイトで利用できるタイプのテンプレートは、非常に多くのアフィリエイトサイトが利用しており、きちんとカストマイズをしないと、それらと似たような雰囲気になってしまうからです。
法人ブログのテンプレートとしては、STORK19 も使いやすくておすすめです。
2. 固定電話番号を取得する
法人口座開設にあたっては、多くの銀行で、携帯電話ではない固定電話番号での連絡先を必要とします。050から始まるIP電話番号でも大丈夫な場合が多くなっていますが、銀行によって扱いが違うと言われています。
電話番号は法人としての契約になるので、一般的には法人の登記完了がおわってすぐに手続きをすることになりますが、どのように固定電話番号を取得するかは、事前に検討しておくほうがよいでしょう。
いろいろな選択肢は、下記でご紹介する記事でご紹介していますが、「固定オフィスを持たない」「オフィスの場所は流動的」「仕事中は本業に集中したい」というスモールビジネスの場合、03番号や050番号を取得できる電話代行サービスがおすすめの選択肢です。
多くの電話代行サービスは平日の9時~18時ですが、特に個人を対象としたビジネスでは、平日夜間や土日にも電話代行をお願いしたい状況もありますね。
そんなときには、土日を含めて365日、最大で9時から21時まで対応が可能なBusinessCallなど、対応時間が長い電話代行サービスを検討してみてください。
小さな起業における固定電話の手配にあたっての留意点や、固定電話番号取得方法の選択肢については、以下の記事にまとめてありますので、参考にしてくださいね。
3. 銀行用の法人印鑑を準備する
多くの場合、会社設立時に代表者印・銀行印・角印をセットで作ります。もし法人用の銀行印を作っていない場合には、口座申し込み前に準備する必要があります。
ネットで検索すると、非常に多くの情報がありすぎて迷いますので、下記の記事に要点をまとめてあります。急ぎで法人用の印鑑をつくる場合には、参考にしてくださいね。
さて、次の項目からは、シェアオフィスやバーチャルオフィスを利用している場合に、特に準備をしておきたい点です。
「バーチャルオフィス・シェアオフィスの住所では絶対に口座開設を認めない」という場合にはどうしようもないのですが、ケースバイケースということも多いようです。そのため、審査で通りやすくする方法をできる限り対策した上で、口座開設の申し込みをするのがおすすめです。可能性があるのであれば、やってみる価値はあるでしょう。
4. 資本金の金額はある程度以上に
資本金があまりに少ないと、当初の運転資金が回りませんし、銀行にとってもよいイメージではありません。資本金の金額は、ある程度以上に設定します。
資本金としてどの程度の金額が必要かの決まりはありませんが、スモール起業の目安としては、300万円以上をおすすめします。というのは、昔の有限会社の最低資本金が300万円だったこともあり、古くからある中小企業では資本金が300万円以上であるという歴史的背景があるからです。
5. 代表者に関する資料を準備する
怪しい人間ではないことがわかるように、代表者に関する情報を準備します。
- これまでの経歴・実績をわかりやすく示します。
- 関連の資格情報、銀行との取引実績も加えておきます。
- ブログ、SNSでの情報発信内容で、ふさわしくないものがないか確認します。
6. 事業計画書を添える
向こう数年にわたる事業計画書を添えて出すことで、きちんとした創業プランに基づいていることを示せます。
また、国や地方自治体の創業補助金を申請中・申請予定であれば、その資料も添えておきます。申請中であれば、その旨を書くようにします。
7. 紹介を利用する
信用という意味では、この方法は大きな効果を生みますので、利用可能であれば必ず使いましょう。
- 知人の紹介を利用する:銀行に知り合いがいて、間に入ってもらえるならばお願いするようにします。信用という意味で、大きな意味を持ちます。
- シェアオフィス・バーチャルオフィスの運営会社に相談する:運営会社がその地域の銀行口座を開いていれば、地域の銀行とのパイプがあります。さらに、過去にバーチャルオフィス・シェアオフィスの会員で銀行口座開設に成功した銀行支店を紹介してもらうなど、できる限りのサポートをお願いするようにします。
シェアオフィス・バーチャルオフィスによっては、「法人口座開設の紹介」や「法人口座開設の実績をアピール」といったところもあります。
たとえば、下記の記事でご案内している【レゾナンス】 では、バーチャルオフィスの法人会員にみずほ銀行を紹介するサービスを提供しています。
まとめ:会社設立の前から法人口座開設の準備をしておこう
法人口座の開設には、固定番号の取得やホームページの開設など、事前の準備に意外に時間がかかります。
会社設立後にすぐに口座開設へと進めるように、会社設立前から準備を進めておくのがポイントですね。
当記事が、小さな起業で法人設立⇒口座開設を予定している方の参考になれば幸いです!
会社設立直後の新規法人の法人口座として、ネット銀行の法人口座はおすすめの選択肢です。手数料の安さだけでなく、サービスの充実度や、口座に紐づくデビットカードなど、スモール起業には使いやすい銀行口座です。
以下の記事で、会社設立後すぐに申込みするのにおすすめのネット銀行を紹介していますので、参考にしてくださいね。